人の寿命というのは大体決まっていて、直線的に考えれば誰しもがほぼ70~80歳で天寿を全うすることになります。早死にする人もいれば、100歳を超えるような人もいはしますが、平均すると大差はないようです。
では、人間の偉大さというのはどこから来るか。という問いに森信三先生はこのように答えています。
「人間の偉さは、結局この人生をどれほど深く生きるか。」
ということだと仰っております。そして、深い生き方というのはどういう生き方かと続けています。
すなわち人生を深く生きるということは、自分の悩みや苦しみの意味を深く噛み締めることによって、かような苦しみは、必ずしも自分一人だけのものではなくて、多くの人々が、等しく悩み苦しみつつあるのだ、ということが分かるようになることではないかと思うのです。
実際に人生を深めていくにはどうしたらよいかというと、
まず相手の気持ちを察することから始めたらと思うのです。すなわち、これまでは、物事をとかく自己中心的に、ただ自分だけのことしか考えられない生活だったのは、実に狭くて浅い生き方だと気付くということです。
と。
なんだか自分のことを言われているような講義です。
何より、まず自分が悩み苦しみを深く味わう必要があります。
味わいたくないからと、悩むべき問題、苦しむべき問題を無視していると、人の気持ちはおろか、自分の気持ちすら分からぬ人間になってしまいます。
悩み苦しみと聞くと仏教が連想されますが、その後森先生は先哲の中でも特に親鸞聖人はこの体験を深くされているので、親鸞聖人の伝記や「歎異抄」を読むようにと薦めています。
悩み、苦しみに対して真摯に向き合っていく。そして、それは決して我が身だけのことではないと、心を押し広げていけたらと思います。