二宮尊徳の教え 其の十六 富裕者の心得

尊徳先生は、富裕者が心得なければならないことを以下のように説いています。

「論語」に「魯の哀公が有若(孔子の門徒)にお尋ねになった。『凶作で財政が足りないが、どうしたらいいだろうか』。有若がお答えしていうには、『いっそ一割の税になさってはどうでしょうか?』。『二割でも私は足りないというのに、なぜ一割にするのか』と再び哀公が尋ねると、有若はいった。『百姓が豊かになれば、殿様がひとり窮乏するはずがありません。百姓が窮乏すれば、殿様ひとりが豊かになるはずもありません』」とある。

これは、難解な理屈である。
これを例えてみると、鉢植えの松に、肥料が不足して、それが枯れようとしているときに、「これをどうしたらいいか」と問われて、「どうして枝を切らないのか」と答えるのと同じである。また、さらに「このままですら、枯れようとしているのに、どうして枝を切るのか」と尋ねて、「根が枯れなければ、木は誰とともに枯れようか」と答えたのに似ている。

これなら実に、疑いのない問答になる。
日本は六十余州の大きな鉢である。鉢は大きいけれども、肥料が不足したときは、無用の枝葉を切り取る他に道はない。人の財産も、それぞれ一つずつの小鉢である。生活費が不足したら、速やかに枝葉を切り取りなさい。このときに、「これは先祖代々のしきたりだ。家風だ。これは親が苦心して立てた別荘だ。これは特に大切にしてきた品物だ」などといって、無用の枝葉を切り捨てることをやらないと、たちまち枯れていってしまうものなのである。すでに枯れはじめてしまっては、枝葉を切り取っても間に合わない。これは、最も富裕者が心得なければならないことである。

(参考:現代語抄訳 二宮翁夜話―人生を豊かにする智恵の言葉

尊徳先生が「二宮翁夜話」の中で繰り返し唱えていることです。分限を守り、収入が減ったら、速やかに支出も減らせ。これが鉄則だと教えています。生活水準というものは、一度上げてしまうと、下げるのが難しいといわれますが、この確かなことを実践できないと、手遅れになってしまうといっています。これは、家計にも、会社の財務にも、国家の財政にも当てはまります。ある経営者が経営のコツを聞かれて、「分限の中でビジネスをしているだけで、何も難しいことはしていない」と答えていたのを何かで拝見した記憶があります。50の収入なら、25で生活し、10の収入なら5で生活するといった生活癖を付けていきたいと思いました。


現代語抄訳 二宮翁夜話―人生を豊かにする智恵の言葉

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コメント

  1. 明るく元気 より:

    今や、失うという段になると、とてもいてもたっても今の苦難と闘うというよりも、これ以上なしと足るを知るということかと思います。

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