二宮尊徳の教え 其の五 農業こそが大本

すべて物の根源になるものは、必ず低く見られる。しかし、低く見られるからといって、それを軽視するのは間違いである。たとえば、家屋には、土台があってはじめて、床や書院があるようなものだ。土台は家の根源である。
さて、さまざまな職業中、それらの根源は農業である。なぜなら、農業は、自分で作って食べ、自分で着物を織って着るという道を勤めるからであり、この道は、すべての人がこれを行っても、差し支えのない仕事だからである。
このように大本となる仕事が低く見られるのは、それが根源にあるからである。物を置くときに、最初に置く物が必ず下になり、後に置いた物が必ず上になるのが道理であって、農民が国の大本であるために、低く見られるのである。

(参考:現代語抄訳 二宮翁夜話―人生を豊かにする智恵の言葉

当時、この言葉を聞いた農民の方々は大いに奮い立ったのじゃないかと想像できます。「大本」となるものが必ず低く見られる。これはよく考えると確かにそうなのですが、改めて言われるまで気が付きませんでした。

すべての人がそれをやってさしつかえない仕事こそが、職業の大本である。役人が貴い地位にあるといっても、すべての人が役人になったら、どうなるのか。必ずやっていけなくなるだろう。兵士は重要な仕事だが、すべての人が兵士になったら、同じくやっていけない。工業も欠かせない職業だが、すべての人が工業に就いたら、必ずやっていけない。商業もまた同じだ。しかし、農業は職業の大本だから、すべての人が農業をやっても、差し支えなくやっていける。農業がすべての仕事の大本であるということは、これによって明瞭である。

水は全てのものより低いところへ流れ、全てのものを潤します。この摂理を忘れずに、低く見られるものこそ、大本なのであり、大切にしなければならないこと、本質が隠されていることと肝に銘じたいと思います。


現代語抄訳 二宮翁夜話―人生を豊かにする智恵の言葉

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